- 2026年5月13日
体外受精・顕微授精に進む前に男性側も検査すべき理由|泌尿器科専門医・生殖医療専門医が解説
不妊治療を進める中で、体外受精や顕微授精を検討されるご夫婦もいらっしゃいます。
その際に、
「顕微授精をするなら、男性側の詳しい検査は必要ないのでは」
「精液検査で精子がいれば十分ではないか」
「女性側の治療を急いだ方がよいのでは」
と考える方もいるかもしれません。
体外受精や顕微授精は、不妊治療において重要な選択肢です。
一方で、ARTに進む場合でも、男性側の評価を行う意義は大きくあります。
男性側をきちんと確認することで、治療可能な原因が見つかることがあります。
また、精子の数だけでなく、精子の質や精巣の状態を確認することで、その後の治療方針を考えやすくなります。
この記事では、体外受精・顕微授精に進む前に男性側も検査すべき理由について、泌尿器科専門医・生殖医療専門医の立場から解説します。
■ ARTとは
ARTとは、生殖補助医療のことです。
代表的なものとして、
・体外受精
・顕微授精
・胚移植
などがあります。
体外受精では、卵子と精子を体外で受精させます。
顕微授精では、1個の精子を卵子の中に直接注入します。
顕微授精は、精子の数が少ない場合や運動率が低い場合でも受精を目指せる方法です。
しかし、顕微授精があるからといって、男性側の評価が不要になるわけではありません。
■ 男性側の要因は不妊の重要な原因です
不妊の原因は、女性側だけにあるとは限りません。
男性側の要因としては、
・精子の数が少ない
・精子の動きが弱い
・精子の形態に問題がある
・精索静脈瘤がある
・ホルモンバランスに異常がある
・EDや射精障害がある
・生活習慣や薬剤の影響がある
などが考えられます。
男性側の状態は、見た目や自覚症状だけでは分かりません。
そのため、ARTに進む前であっても、男性側の状態を一度しっかり確認することが大切です。
■ 精液検査だけでは分からないことがあります
男性側の評価で最初に重要なのは精液検査です。
精液検査では、
・精液量
・精子濃度
・総精子数
・運動率
・形態
などを確認します。
ただし、精液検査だけで男性側の原因がすべて分かるわけではありません。
たとえば、
・精索静脈瘤があるか
・精巣の大きさや状態に問題があるか
・ホルモンバランスに異常があるか
・酸化ストレスが高いか
・精子DNAへの影響があるか
といった点は、精液検査だけでは十分に評価できないことがあります。
そのため、精液検査だけで終わらせず、エコーや採血なども組み合わせて総合的に評価することが大切です。
■ 精子の「数」だけでなく「質」も大切です
不妊治療では、精子の数や運動率に注目が集まりやすいです。
もちろん、精子の数や動きは重要です。
しかし、ARTを考える場合には、精子の質も大切です。
精子の質には、
・酸化ストレス
・精子DNA断片化
・精子の成熟状態
・精巣環境
などが関係します。
受精が成立した後も、胚発生や妊娠の成立には、精子由来の要素が関係する可能性があります。AUA/ASRMガイドラインでも、精子DNA断片化はART結果や自然妊娠に影響する可能性がある一方、初期評価として全例に routine で行う検査ではないと整理されています。
つまり、すべての方に特殊検査が必要という意味ではありません。
しかし、反復して治療がうまくいかない場合や、精液所見が悪い場合、精索静脈瘤が疑われる場合には、精子の質も含めて考えることがあります。
■ 精索静脈瘤はART前に確認したい代表的な疾患です
男性側の評価で特に重要なのが、精索静脈瘤です。
精索静脈瘤とは、陰嚢内の静脈が拡張し、血流がうっ滞する状態です。
精索静脈瘤があると、
・精巣温度の上昇
・酸化ストレスの増加
・精子の運動率低下
・精子の質の低下
などが起こる可能性があります。
精索静脈瘤は自覚症状が少ないことも多く、検査を受けるまで気づかれない場合があります。
一方で、状態によっては手術を検討できる男性不妊の原因です。
体外受精や顕微授精に進む前に精索静脈瘤を確認することで、男性側に治療可能な要因がないかを評価できます。
■ 男性側を評価することで治療選択肢が広がることがあります
男性側の評価を行う目的は、単に異常を見つけることだけではありません。
男性側に治療可能な原因が見つかれば、妊活全体の選択肢が広がることがあります。
たとえば、精索静脈瘤の治療や生活習慣の見直しによって、精液所見や精子の質が改善する可能性があります。
その結果、
・顕微授精
・体外受精
・人工授精
・タイミング法
・自然妊娠
といった選択肢を、改めて考えられることがあります。
もちろん、すべての方で治療方針が変わるわけではありません。
女性側の年齢や卵巣予備能、妊活期間、これまでの治療歴によっては、ARTを優先すべき場面もあります。
大切なのは、男性側を評価せずに治療を進めるのではなく、夫婦全体の状況を踏まえて判断することです。
■ 婦人科・生殖医療クリニックに通院中でも男性側評価は並行できます
婦人科や生殖医療クリニックで治療中の場合でも、男性側の評価を並行して進めることは可能です。
男性側の評価では、
・精液検査
・精巣・陰嚢エコー
・ホルモン採血
・精索静脈瘤の評価
・生活習慣や内服薬の確認
などを行います。
婦人科での治療を止めるという意味ではありません。
女性側の治療を進めながら、男性側の状態も確認することで、治療方針をより考えやすくなります。
■ ART前に男性側評価を受けた方がよいケース
以下のような場合には、体外受精や顕微授精に進む前、または並行して男性側評価を検討してもよいでしょう。
・精液検査で異常を指摘された
・精索静脈瘤を指摘されたことがある
・一人目はできたが二人目がなかなかできない
・婦人科で治療中だが男性側の評価が十分でない
・人工授精や体外受精を検討している
・顕微授精を勧められている
・ARTを繰り返しているが結果が出ていない
・EDや射精障害がある
・AGA治療薬、喫煙、サウナなど生活習慣が気になる
これらに当てはまる場合には、男性側を一度詳しく確認することが大切です。
■ 当院での男性側評価
当院では、男性不妊に対して、精液検査だけで終わらせるのではなく、男性側の状態を総合的に確認します。
具体的には、
・精液検査
・精巣・陰嚢エコー
・ホルモン採血
・精索静脈瘤の評価
・生活習慣や内服薬の確認
・EDや射精障害の相談
などを組み合わせて評価します。
また、精索静脈瘤が男性不妊に関係していると考えられる場合には、日帰り手術も含めて治療方針をご提案します。
流山市・おおたかの森周辺だけでなく、柏市、三郷市、松戸市、野田市、つくばエクスプレス沿線、常磐線沿線、東武アーバンパークライン沿線から通院を検討される方もご相談ください。
■ まとめ
体外受精や顕微授精は、不妊治療において重要な選択肢です。
一方で、ARTに進む場合でも、男性側の評価が不要になるわけではありません。
精液検査だけでなく、エコー検査やホルモン採血を組み合わせることで、精索静脈瘤やホルモン異常など、治療可能な原因が見つかることがあります。
また、精子の数だけでなく、精子の質や精巣環境を考えることも大切です。
体外受精・顕微授精に進む前、または治療と並行して、男性側の状態を確認することは、夫婦の妊活にとって重要な一歩です。
流山市・おおたかの森周辺で男性不妊やART前の男性側評価についてお悩みの方は、一度ご相談ください。