- 2026年5月7日
- 2026年7月28日
男性不妊の検査の流れ|精液検査・エコー・採血で分かることを泌尿器科専門医・生殖医療専門医が解説|リプロケアクリニックおおたかの森
男性不妊外来を受診したいと思っていても、
「最初から精液を提出するのか」
「陰部をどのように診察されるのか」
「痛い検査はあるのか」
「異常が見つかったら、すぐに手術を勧められるのか」
と不安に感じる方は少なくありません。
男性不妊外来では、いきなり手術や治療を決めることはありません。
まずは問診、精液検査、診察、陰嚢超音波検査、必要に応じた採血検査などを組み合わせ、男性側の状態と不妊の原因を整理します。
妊活をしている中で、
「男性側はどのような検査を受ければよいのか」
「精液検査だけで十分なのか」
「何から始めればよいのか分からない」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
男性不妊の評価では、精液検査の数値だけを見るのではなく、精巣の状態、精索静脈瘤の有無、ホルモンバランスなども含めて総合的に判断することが大切です。
この記事では、男性不妊外来で行う検査の内容と受診の流れについて、泌尿器科専門医・生殖医療専門医の立場から分かりやすく解説します。
男性不妊の検査はなぜ必要なのでしょうか
妊活というと、女性側の検査や治療が先に進みやすい傾向があります。
しかし、妊娠しにくい原因には、男性側の要因が関係していることも少なくありません。
男性側に明らかな自覚症状がなくても、
- 精子数が少ない
- 精子の運動率が低い
- 精索静脈瘤がある
- ホルモン異常がある
- 射精や勃起に問題がある
- 精子の通り道に異常がある
といった状態が隠れていることがあります。
見た目や体調だけでは男性側の状態を判断できないため、検査によって現在の状態を確認することが大切です。
男性不妊の検査では、主に次の点を評価します。
- 精子の数や動き
- 精巣の大きさや状態
- 精索静脈瘤の有無
- 精子を作る働きに関係するホルモン
- 必要に応じて精子DNA損傷や酸化ストレス
- 射精障害や性機能の問題
- 染色体や遺伝子に関係する異常
すべての方に同じ検査を行うのではなく、精液検査の結果、妊活期間、既往歴、診察所見などを踏まえて、必要な検査を選びます。
まず重要になるのが精液検査です
男性不妊の評価で、最初に重要となるのが精液検査です。
精液検査では、主に次の項目を確認します。
- 精液量
- 精子濃度
- 総精子数
- 運動率
- 前進運動率
- 精子形態
これにより、現在の精子の状態を客観的に評価します。
精液検査は男性不妊の基本検査ですが、1回の検査結果だけで男性側の状態を決めつけることはできません。
精液所見は、
- 禁欲期間
- 発熱
- 睡眠不足
- 体調
- ストレス
- 飲酒
- 喫煙
- 薬の影響
などによって変動するためです。
初回の結果に異常があった場合には、体調や禁欲期間を確認したうえで再検査を行うことがあります。
精液検査はどのように行いますか
精液は、専用の容器に採取して提出します。
採取する場所には、主に次の2つがあります。
院内で採取する方法
院内の採精室で採取し、そのまま検査に提出します。
移動による温度変化や提出までの時間を気にする必要がない点が利点です。
自宅で採取する方法
自宅で採取した精液を、指定された時間内に持参します。
自宅採精を希望する場合には、事前に専用容器を受け取っていただきます。
精液を提出する際は、極端に冷やしたり温めたりせず、できるだけ体温に近い状態を保って持参してください。
精液検査の前には、一般的に2~7日程度の禁欲期間を設けます。
禁欲期間が短すぎても長すぎても、検査結果に影響することがあります。
精液検査だけでは分からないことがあります
精液検査は非常に重要ですが、精子数や運動率が低下している原因までは分からないことがあります。
例えば、
- 精索静脈瘤があるのか
- 精巣が十分に発達しているか
- ホルモン異常があるのか
- 精子の通り道が閉塞しているのか
- 精子DNAが損傷しているのか
といったことは、精液検査だけでは十分に評価できません。
精液検査の数値が悪かった場合に、
「なぜ悪いのか」
「治療できる原因があるのか」
「今後さらに悪化する可能性があるのか」
を考えるためには、診察、陰嚢超音波検査、採血検査などを組み合わせる必要があります。
また、一般的な精液検査が基準範囲内でも、なかなか妊娠に至らない場合があります。
そのような場合には、必要に応じて精子DNA損傷や酸化ストレスを調べる検査を検討します。
診察では何を確認しますか
診察では、精巣の大きさや硬さ、精巣上体、精管、陰嚢内の血管などを確認します。
特に重要なのが、精索静脈瘤の有無です。
精索静脈瘤は、精巣から心臓へ血液を戻す静脈の流れが悪くなり、陰嚢内の静脈が拡張する病気です。
男性不妊の原因として比較的多く、治療による改善が期待できる疾患の一つです。
診察は短時間で行います。
陰嚢を触診することに抵抗を感じる方もいらっしゃいますが、男性不妊の原因を確認するために重要な診察です。
できるだけ不安や羞恥心に配慮しながら行います。
陰嚢超音波検査で分かること
陰嚢超音波検査では、ゼリーを塗った超音波の機器を陰嚢に当て、精巣や陰嚢内の状態を確認します。
検査による強い痛みは通常なく、放射線被ばくもありません。
陰嚢超音波検査では、主に次の点を確認します。
- 精巣の大きさ
- 精巣内部の状態
- 精索静脈瘤の有無
- 陰嚢内の血流
- 精巣腫瘍などの異常
- 陰嚢水腫
- 精巣上体の異常
精索静脈瘤は、自覚症状がほとんどない場合もあります。
陰嚢の痛みや血管の膨らみがなくても、男性不妊の検査で初めて見つかることがあります。
精索静脈瘤が見つかっても、すべての方に手術が必要なわけではありません。
精液所見、陰嚢の症状、妊活期間、パートナーの年齢や治療状況などを踏まえて、経過観察とするか、治療を検討するかを判断します。
採血検査では何を調べますか
採血検査では、精子を作る働きや男性ホルモンの状態に関係する項目を確認します。
男性不妊の評価で測定することがある主なホルモンは、次のとおりです。
FSH
FSHは、精巣で精子を作る働きに関係するホルモンです。
FSHが高い場合には、精巣で精子を作る機能が低下している可能性があります。
LH
LHは、精巣に働きかけ、テストステロンの分泌を促すホルモンです。
テストステロン
テストステロンは男性ホルモンの一つです。
精子を作る働きだけでなく、性欲、筋肉量、気分、体毛などにも関係します。
プロラクチン
プロラクチンが高い場合には、性欲、勃起機能、テストステロン分泌などに影響することがあります。
精液検査の結果や診察所見によっては、甲状腺機能など、ほかの採血項目を追加することもあります。
必要に応じて行う追加検査
すべての方に必要ではありませんが、精液検査や診察結果に応じて追加検査を行うことがあります。
DFI検査
DFI検査は、精子DNAの損傷の程度を評価する検査です。
一般的な精液検査で大きな異常がなくても、精子DNAの損傷が妊娠や胚発育に影響している可能性があります。
ORP検査
ORP検査は、精液中の酸化ストレスの状態を評価する検査です。
酸化ストレスが強い場合には、精子運動率の低下や精子DNA損傷につながる可能性があります。
染色体検査・AZF欠失検査
無精子症や高度乏精子症の場合には、染色体検査やY染色体上のAZF領域の欠失を調べる検査を検討することがあります。
尿検査
射精後の尿を調べることで、精液が膀胱内へ逆流する逆行性射精の評価を行うことがあります。
必要な検査は、精液所見や診察結果をもとに医師が判断します。
男性不妊外来の初診では何をしますか
当院での一般的な診療の流れは次のとおりです。
1.問診
妊活期間、これまでの検査や治療歴、既往歴、手術歴、内服薬、生活習慣などを確認します。
必要に応じて、
- 発熱歴
- 喫煙
- 飲酒
- サウナや長時間の熱環境
- AGA治療薬などの内服
- EDや射精障害
- 小児期の停留精巣
- 鼠径部や陰嚢の手術歴
などについても伺います。
2.診察
精巣の大きさや硬さ、精索静脈瘤の有無などを確認します。
3.陰嚢超音波検査
精巣内部の状態、精巣の大きさ、精索静脈瘤の有無などを評価します。
4.採血検査
精液検査の結果や診察所見に応じて、FSH、LH、テストステロン、プロラクチンなどを測定します。
5.精液検査
精子の数や運動率などを確認します。
禁欲期間が2〜7日に入っており、患者さん自身にお時間があれば、初診時に行うことも可能です。
6.結果説明と今後の方針
検査結果を総合的に評価し、現在の状態と考えられる原因をご説明します。
必要に応じて、
- 精液検査の再検査
- 生活習慣の見直し
- 内服薬の確認
- 薬物療法
- DFI・ORP検査
- 精索静脈瘤手術
- 生殖医療施設との連携
などをご提案します。
初診当日にすべての検査を行いますか
受診内容や予約枠によって異なります。
診察、陰嚢超音波検査、採血を初診当日に行い、精液検査は別日に行うこともあります。
一方で、事前に精液検査を予約し、初診日に精液を提出することも可能です。
精液検査を希望する場合には、通常の男性不妊外来予約だけでなく、精液検査の予約が必要になることがあります。
予約時に、院内採精か自宅採精かを含めてご確認ください。
検査には痛みがありますか
精液検査や採血以外に、強い痛みを伴う検査は通常ありません。
陰嚢超音波検査では、陰嚢にゼリーを塗り、超音波の機器を当てて観察します。
精索静脈瘤の診察では、立った状態や力を入れた状態で陰嚢を確認することがありますが、短時間で終了します。
痛みや不安がある場合には、診察前にお伝えください。
検査で異常が見つかったら、必ず治療や手術になりますか
検査で精索静脈瘤や精液所見の異常が見つかっても、必ず手術や薬物療法が必要になるわけではありません。
治療方針は、
- 精液検査の結果
- 精索静脈瘤の程度
- 陰嚢の痛みや違和感
- 妊活期間
- パートナーの年齢
- 女性側の検査結果
- 現在の不妊治療の段階
- ご夫婦の希望
などを踏まえて検討します。
経過観察となる場合もあれば、生活習慣の見直し、再検査、薬物療法、精索静脈瘤手術を検討する場合もあります。
当院では、検査結果だけで機械的に治療を決めるのではなく、ご夫婦の状況に応じて今必要な対応をご提案します。
保険診療と自費診療の違い
男性不妊の検査は、受診目的やこれまでの経過によって、保険診療または自費診療となります。
次のような場合には、保険診療で評価できる可能性があります。
- 不妊期間が一定期間続いている
- 他院で精液検査の異常を指摘された
- 他院から紹介状を持参している
- 精索静脈瘤を指摘された
- 無精子症や乏精子症を指摘された
- 陰嚢の痛みや腫れがある
- EDや射精障害がある
- 不妊治療中で男性側の精査が必要と判断される
一方で、
- 妊活を始める前に状態を確認したい
- 不妊症の診断前にスクリーニングとして検査したい
- 男性ブライダルチェックを受けたい
という場合には、男性妊活チェックなどの自費診療をご案内します。
保険診療か自費診療かは、診察内容や受診目的を踏まえて医師が判断します。
一度の受診ですべてが分かるわけではありません
男性不妊では、1回の精液検査や一度の受診だけで、原因や今後の見通しをすべて判断できないことがあります。
特に精液所見は変動しやすいため、必要に応じて複数回の検査を行います。
また、採血結果や追加検査の結果が後日判明することもあります。
大切なのは、一度の数値だけを見るのではなく、
- 精液所見の推移
- 診察所見
- 超音波検査
- ホルモン値
- 妊活期間
- ご夫婦の治療状況
を総合的に評価することです。
このような方はご相談ください
次のような方は、男性不妊の検査をご検討ください。
- 妊活を始めてしばらく経っている
- 精液検査を受けたことがない
- 精液検査で異常を指摘された
- 一人目は妊娠したが、二人目がなかなかできない
- 精索静脈瘤と言われたことがある
- 陰嚢の血管の膨らみや違和感がある
- 女性側の治療だけが先に進んでいる
- 体外受精や顕微授精に進む前に男性側も確認したい
- 精液検査だけでなく、原因まで詳しく調べたい
- 男性側も早めに状態を確認しておきたい
男性不妊は、早い段階で状態を確認することで、その後の選択肢が広がることがあります。
当院での男性不妊評価
当院では、泌尿器科専門医・生殖医療専門医が、
- 精液検査
- 陰嚢の診察
- 陰嚢超音波検査
- ホルモン検査
- 必要に応じたDFI・ORP検査
を組み合わせ、男性側の状態を総合的に評価します。
検査結果をお伝えして終わりではありません。
必要に応じて、生活習慣や内服薬の見直し、薬物療法、精索静脈瘤の日帰り手術、生殖医療施設との連携まで対応します。
精索静脈瘤などの異常が見つかっても、必ず治療を勧めるわけではありません。
妊活期間、パートナーの年齢、女性側の治療状況などを踏まえて、一人ひとりに必要な方針をご提案します。
つくばエクスプレス沿線・東葛地域から受診いただけます
当院は、流山おおたかの森駅から徒歩5分です。
つくばエクスプレス沿線の北千住、南千住、八潮、三郷中央、柏の葉キャンパス、守谷、つくば方面から受診していただけます。
また、柏市、我孫子市、鎌ケ谷市、松戸市、野田市など、東葛地域からもご来院いただいています。
男性不妊の相談先をお探しの方、精液検査だけでなく原因まで詳しく調べたい方はご相談ください。
まとめ
男性不妊の評価では、まず精液検査が重要です。
ただし、精液検査だけでは、精索静脈瘤、ホルモン異常、精巣の状態など、原因まで十分に分からないことがあります。
そのため、診察、陰嚢超音波検査、採血検査を組み合わせて、男性側の状態を総合的に評価することが大切です。
男性不妊外来では、いきなり治療や手術を決めることはありません。
まず現在の状態と原因を整理し、そのうえで、経過観察、再検査、生活習慣の見直し、薬物療法、精索静脈瘤手術などの選択肢を検討します。
「何をされるか分からず受診しづらい」
「精液検査だけでよいのか分からない」
「男性側も一度詳しく調べたい」
という段階からご相談ください。