- 2026年6月1日
妊活中の男性が注意したい薬|AGA治療薬・サプリ・男性ホルモンについて泌尿器科専門医・生殖医療専門医が解説
妊活中の男性から、
「AGA治療薬を飲んでいるけど、妊活に影響しますか?」
「フィナステリドやデュタステリドは精子に悪いのでしょうか?」
「サプリを飲んでいますが、問題ありませんか?」
「筋トレ目的で男性ホルモン系の薬を使っている場合はどうなりますか?」
「薬をやめるべきか、まず検査すべきか分かりません」
という相談を受けることがあります。
妊活中は、薬やサプリ、男性ホルモンに関する情報が気になりやすい時期です。
ただし、すべての薬を自己判断で中止すればよいわけではありません。
中止することで、もともとの病気や症状が悪化することもあります。
大切なのは、自己判断でやめる前に、まず現在の精液所見に影響が出ていないか確認することです。
この記事では、妊活中の男性が注意したい薬、AGA治療薬、サプリ、男性ホルモンと精液検査の関係について、泌尿器科専門医・生殖医療専門医の立場から分かりやすく解説します。
妊活中の薬は「すぐ中止」ではなく「まず確認」が大切です
妊活中に薬やサプリを飲んでいると、
「これは精子に悪いのではないか」
「飲み続けてよいのか」
「すぐやめた方がよいのか」
と不安になる方も多いと思います。
しかし、自己判断で急に薬を中止するのはおすすめできません。
薬には、それぞれ処方された理由があります。
たとえば、AGA治療薬、うつ病や不安症の薬、睡眠薬、血圧の薬、糖尿病の薬、ホルモン関連薬などは、自己判断で中止すると体調に影響することがあります。
そのため妊活中に大切なのは、
・現在の精液所見を確認する
・必要に応じてホルモン採血を行う
・生活習慣や内服薬を整理する
・処方医とも相談しながら方針を考える
という流れです。
「薬をやめるかどうか」を考える前に、まず精液検査で現在の状態を確認しましょう。
精液検査で確認できること
精液検査では、男性側の妊活に関わる基本的な状態を確認します。
主な項目は、
・精液量
・精子濃度
・総精子数
・運動率
・形態
などです。
薬やサプリが気になる場合でも、まず精液検査を行うことで、現在の精子の状態を客観的に確認できます。
精液検査に大きな異常がなければ、過度に心配しすぎなくてよい場合もあります。
一方で、精子濃度や運動率が低い、精液量が少ない、無精子症が疑われるなどの場合には、薬剤、ホルモン、精索静脈瘤、生活習慣などを含めて詳しく評価する必要があります。
AGA治療薬と妊活
AGA治療薬としてよく使われる薬に、フィナステリドやデュタステリドがあります。
これらは5α還元酵素阻害薬と呼ばれる薬で、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)の作用を抑えることで、男性型脱毛症の進行を抑える目的で使われます。
妊活中の男性で問題になるのは、
・精液量
・精子濃度
・運動率
・精子の質
・性欲や勃起機能
などへの影響です。
すべての方で大きな影響が出るわけではありませんが、一部の方では精液所見に変化が出る可能性があります。
そのため、AGA治療薬を飲んでいる妊活中の男性では、まず精液検査を受け、現在の状態を確認することが大切です。
フィナステリドを飲んでいる場合
フィナステリドは、AGA治療で広く使われている薬です。
妊活中にフィナステリドを飲んでいる場合、
「すぐにやめるべきですか?」
「飲み続けても大丈夫ですか?」
と悩む方が多いです。
ここで重要なのは、まず現在の精液所見を確認することです。
精液検査で問題がなければ、処方医と相談しながら継続の可否を検討します。
一方で、精子濃度や運動率が低い、精液量が少ない、精液所見が悪化している可能性がある場合には、フィナステリドの影響も含めて考える必要があります。
自己判断で中止するのではなく、妊活の状況、精液検査結果、AGA治療の必要性を総合的に判断しましょう。
デュタステリドを飲んでいる場合
デュタステリドもAGA治療で使われる薬です。
フィナステリドよりもDHTを強く抑える薬であり、妊活中に不安を感じる方もいます。
デュタステリドを飲んでいる場合も、まず精液検査で現在の状態を確認することが大切です。
精液所見に異常がある場合には、薬剤の影響、精索静脈瘤、ホルモンバランス、生活習慣など、複数の要因を考えます。
デュタステリドは体内から抜けるまで時間がかかるため、妊活との関係を考える場合には、早めに相談しておくとよいでしょう。
サプリメントは安全とは限りません
妊活中の男性では、亜鉛、マカ、アルギニン、ビタミン、ミネラル、プロテイン、精力系サプリなどを使用している方もいます。
サプリメントは医薬品ではないため、「安全」「自然」「体によい」と思われがちです。
しかし、すべてのサプリメントが妊活に有益とは限りません。
注意したいのは、
・成分量が過剰
・複数のサプリを重ねて飲んでいる
・成分が不明確
・海外製品を個人輸入している
・男性ホルモン様作用をうたう商品を使っている
・筋肉増強目的の成分が含まれている可能性がある
といった場合です。
サプリメントを飲んでいる場合も、まずは現在の精液所見を確認することが大切です。
サプリを飲んでいるから安心、というわけではありません。
また、サプリが原因と決めつけるのも早計です。
精液検査、ホルモン採血、生活習慣の確認を組み合わせて判断します。
男性ホルモン補充・筋肉増強薬には注意が必要です
妊活中に特に注意が必要なのが、男性ホルモン補充や筋肉増強目的の薬剤です。
外からテストステロンを補充すると、体の中では「男性ホルモンが十分ある」と判断され、脳から精巣への刺激が弱くなることがあります。
その結果、精子を作る働きが低下し、精子数が大きく減ることがあります。
場合によっては、無精子症に近い状態になることもあります。
特に注意が必要なのは、
・テストステロン注射
・テストステロン外用薬
・アナボリックステロイド
・筋肉増強目的のホルモン剤
・海外から個人輸入したホルモン関連薬
・成分不明の筋トレ系サプリ
などです。
妊活中の男性が男性ホルモン補充やアナボリックステロイドを使用している場合には、早めに泌尿器科や生殖医療の専門医に相談してください。
ED治療薬はどう考える?
妊活中にED治療薬を使用することがあります。
EDがあると、タイミングが取りにくい、膣内射精が難しい、夫婦生活にプレッシャーがかかる、という問題が起こります。
ED治療薬は、妊活を進めるうえで役立つことがあります。
ただし、EDの背景には、
・糖尿病
・高血圧
・脂質異常症
・肥満
・睡眠不足
・ストレス
・男性ホルモン低下
などが隠れていることもあります。
ED治療薬を使っている方でも、妊活中であれば精液検査やホルモン評価を行い、男性側の状態を確認しておくと安心です。
精液検査に影響する可能性があるもの
薬やサプリ以外にも、精液所見に影響する可能性があるものがあります。
たとえば、
・発熱
・睡眠不足
・喫煙
・加熱式タバコ
・過度な飲酒
・肥満
・サウナや長風呂などの熱ストレス
・強いストレス
・糖尿病などの生活習慣病
・精索静脈瘤
などです。
精液検査の結果が悪かった場合、薬だけを原因と考えるのではなく、生活習慣や体の状態を含めて総合的に確認することが大切です。
このような方はご相談ください
以下のような方は、男性側の評価をおすすめします。
・妊活中でAGA治療薬を飲んでいる
・フィナステリドを内服している
・デュタステリドを内服している
・妊活中にサプリを複数飲んでいる
・筋トレ目的のサプリや薬を使っている
・男性ホルモン補充を受けている
・精液検査を受けたことがない
・精液検査で異常を指摘された
・ED治療薬を使っている
・一人目はできたが二人目がなかなかできない
・体外受精や顕微授精に進む前に男性側も確認したい
当院での評価
当院では、妊活中の男性に対して、薬やサプリの使用状況も含めて男性側の状態を確認します。
具体的には、
・精液検査
・精巣・陰嚢エコー
・ホルモン採血
・精索静脈瘤の評価
・生活習慣の確認
・内服薬やサプリの確認
・EDや射精障害の相談
などを組み合わせて評価します。
AGA治療薬やサプリを自己判断で中止する前に、まず精液検査で現在の状態を確認しましょう。
精液所見に異常がある場合には、必要に応じて処方医とも相談しながら、今後の方針を考えていきます。
まとめ
妊活中の男性が薬やサプリを使っている場合、すぐに「やめる」「続ける」と決めるのではなく、まず現在の状態を確認することが大切です。
AGA治療薬、サプリ、男性ホルモン関連薬、ED治療薬などは、それぞれ妊活との関係を考える必要があります。
大切なのは、
・自己判断で中止しない
・精液検査で現在の状態を確認する
・必要に応じてホルモン採血を行う
・生活習慣や精索静脈瘤も含めて評価する
・処方医とも相談しながら方針を考える
ということです。
流山おおたかの森、野田、柏、松戸、三郷、八潮周辺で、妊活中の薬、AGA治療薬、サプリ、男性ホルモンと男性不妊について不安がある方はご相談ください。
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解説
安東 聡
リプロケアクリニックおおたかの森 院長
泌尿器科専門医・生殖医療専門医