• 2026年7月10日

膀胱炎とは?症状・原因・治療を泌尿器科専門医が解説|女性・男性の違いと受診の目安

「排尿すると痛い」

「何度もトイレに行きたくなる」

「尿が濁っている、血が混じっている」

このような症状がある場合は、膀胱炎の可能性があります。

膀胱炎は女性に多い病気ですが、男性にも起こります。ただし、同じような症状でも、尿路結石、腎盂腎炎、前立腺炎、性感染症、まれに膀胱がんなど、別の病気が隠れていることがあります。

特に、発熱や背中・脇腹の痛みを伴う場合、男性に膀胱炎症状がある場合、膀胱炎を繰り返している場合には、単に抗菌薬を服用するだけでなく、原因を確認することが大切です。

この記事では、膀胱炎の症状、原因、検査、治療、受診の目安について、泌尿器科専門医が分かりやすく解説します。


膀胱炎とは?

膀胱炎とは、尿をためる臓器である膀胱に炎症が起こった状態です。

最も多いのは、尿道から細菌が入り、膀胱内で増殖することによって起こる細菌性膀胱炎です。

女性は男性より尿道が短く、尿道口と肛門が近いため、膀胱炎を発症しやすいと考えられています。

一方で、頻尿や排尿時痛があっても、必ずしも細菌性膀胱炎とは限りません。症状だけで自己判断せず、尿検査で炎症や血尿の有無を確認することが重要です。


膀胱炎の主な症状

膀胱炎では、次のような症状がみられます。

・排尿時に痛い、しみる
・トイレが近い
・急に強い尿意を感じる
・排尿してもすっきりしない
・尿が濁っている
・尿のにおいが気になる
・下腹部に痛みや違和感がある
・尿に血が混じる

典型的な膀胱炎では、高熱や強い背中の痛みを伴わないことが一般的です。

38℃前後の発熱、寒気、背中や脇腹の痛み、吐き気などがある場合には、感染が腎臓まで広がった腎盂腎炎の可能性があります。膀胱炎と思って様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。


膀胱炎の原因

膀胱炎の多くは、腸内などに存在する細菌が尿道から膀胱へ入り込むことで発症します。

発症のきっかけとして、次のような要因が関係することがあります。

・水分摂取量が少ない
・長時間排尿を我慢する
・性行為
・疲労や体調不良
・閉経後の身体の変化
・妊娠
・糖尿病
・尿路結石
・排尿障害や残尿
・尿道カテーテルの使用

ただし、明らかなきっかけがなく発症することも少なくありません。

膀胱炎になったことを、清潔にしていなかったためだと必要以上に責める必要はありません。


女性の膀胱炎

女性の膀胱炎は比較的よくみられる病気です。

排尿時痛、頻尿、残尿感などの典型的な症状があり、尿検査でも炎症が確認された場合には、急性膀胱炎と診断されることがあります。

適切な治療によって改善することが多い一方で、次のような場合は詳しい評価が必要です。

・膀胱炎を何度も繰り返している
・治療しても症状が改善しない
・血尿が続いている
・発熱や背中の痛みがある
・妊娠中である
・糖尿病や免疫機能に関係する病気がある
・尿路結石を指摘されている

症状が似ていても、過活動膀胱、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群、尿路結石、性感染症などの場合があります。


男性の膀胱炎は詳しい評価が大切です

男性にも膀胱炎は起こりますが、女性に比べると頻度は高くありません。

男性に排尿時痛や頻尿、尿の濁りなどがある場合には、膀胱炎だけでなく、次のような病気も考える必要があります。

・急性前立腺炎
・慢性前立腺炎
・前立腺肥大症による残尿
・尿路結石
・尿道炎
・クラミジアや淋菌などの性感染症
・尿道狭窄
・神経因性膀胱
・まれに、大腸がんの膀胱浸潤や結腸膀胱瘻

男性の尿路感染症では、前立腺や排尿障害が関係していることがあります。

また、膀胱炎を繰り返す、複数の種類の細菌が尿培養で検出される、尿に空気や便のようなものが混じる、血尿や便通異常を伴うといった場合には、まれではありますが、大腸がんの膀胱浸潤や結腸膀胱瘻なども考慮する必要があります。

抗菌薬で一時的に症状が改善しても、原因となる病気が残っていると再発することがあります。そのため、男性に膀胱炎症状がある場合は、尿検査だけでなく、症状に応じて超音波検査、残尿測定、尿培養検査、CT検査、膀胱鏡検査などを検討することが重要です。


膀胱炎と性感染症の違い

排尿時痛や尿道の違和感は、膀胱炎だけでなく性感染症でも起こります。

特に男性では、

・尿道から分泌物が出る
・尿道の先端が痛い
・性行為後に症状が出た
・パートナーが性感染症と診断された

といった場合には、クラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎などを考えます。

女性でも、膀胱炎に似た症状の原因が性感染症である場合があります。

心当たりがある場合には、恥ずかしがらずに医師へお伝えください。必要な検査を選ぶための重要な情報になります。


膀胱炎で血尿が出ることはありますか?

膀胱炎では、尿に血が混じることがあります。

炎症によって膀胱粘膜から出血し、尿が薄いピンク色から赤色になる場合があります。

ただし、血尿の原因は膀胱炎だけではありません。

・尿路結石
・膀胱がん
・腎がん
・腎盂・尿管の病気
・前立腺の病気

などでも血尿が起こります。

特に、痛みを伴わない肉眼的血尿、治療後も続く血尿、繰り返す血尿では、泌尿器科で詳しく調べることが大切です。

「膀胱炎だろう」と自己判断して、血尿を放置しないでください。


膀胱炎と腎盂腎炎の違い

膀胱炎は、主に膀胱内に限局した感染症です。

一方、腎盂腎炎は、細菌感染が尿管を通じて腎臓まで広がった状態です。

腎盂腎炎では、次のような症状がみられます。

・発熱
・悪寒や震え
・背中や脇腹の痛み
・吐き気、嘔吐
・強いだるさ
・膀胱炎に似た排尿症状

腎盂腎炎では、点滴や入院治療が必要になることがあります。

発熱や背中の痛みがある場合は、単なる膀胱炎と考えず、早めに受診してください。


膀胱炎の検査

膀胱炎が疑われる場合、まず症状や経過を確認し、尿検査を行います。

尿検査

尿中の白血球、赤血球、細菌などを確認します。

排尿時痛や頻尿があっても、尿中に炎症所見がない場合には、膀胱炎以外の病気も考える必要があります。

尿培養検査

尿中の細菌を培養し、どの抗菌薬が効きやすいかを調べる検査です。

特に、

・膀胱炎を繰り返している
・男性である
・妊娠中である
・治療しても改善しない
・耐性菌が疑われる
・発熱を伴う
・基礎疾患がある

といった場合に重要になります。

超音波検査

腎臓、膀胱、前立腺などを観察し、尿路結石、前立腺肥大症などがないかを確認します。

残尿測定

排尿後に膀胱内へ尿が残っていないかを確認します。

残尿が多いと細菌が増殖しやすくなり、尿路感染症を繰り返す原因になることがあります。

膀胱鏡検査や画像検査

すべての膀胱炎患者さんに必要な検査ではありません。

血尿が続く、膀胱炎を繰り返す、腫瘍や尿路結石が疑われるなど、必要性がある場合に検討します。


膀胱炎の治療

細菌性膀胱炎では、症状、尿検査、年齢、妊娠の有無、基礎疾患、過去の培養結果などを踏まえて抗菌薬を選択します。

同じ「膀胱炎」でも、すべての方に同じ抗菌薬が適しているわけではありません。

薬剤耐性菌を増やさないためにも、

・以前もらった抗菌薬を自己判断で服用する
・家族の薬を服用する
・症状が改善したため、指示された期間より早く中止する

といった行動は避けてください。

処方された抗菌薬は、医師の指示どおり服用してください。

治療を開始しても症状が改善しない場合や、発熱、背中の痛み、嘔吐などが出た場合には、再度受診が必要です。


膀胱炎は自然に治りますか?

軽い症状が一時的に改善することはあります。

しかし、症状だけでは細菌性膀胱炎か、尿路結石、性感染症、腎盂腎炎など別の病気かを判断できません。

また、症状が改善しても感染が残っている場合があります。

特に、

・血尿がある
・発熱がある
・背中や脇腹が痛い
・妊娠中である
・男性である
・膀胱炎を繰り返している
・糖尿病などの基礎疾患がある
・症状が強い

といった場合は、自然に治ることを期待して放置せず、医療機関を受診してください。


膀胱炎を繰り返す場合

膀胱炎を繰り返す方では、毎回同じ原因とは限りません。

再発を繰り返す場合には、

・尿培養で原因菌を確認する
・排尿後に残尿がないか調べる
・尿路結石がないか確認する
・糖尿病などの基礎疾患を確認する
・閉経後の身体変化を考慮する
・性行為との関連を確認する

など、背景を整理することが大切です。

若い女性で危険因子がなく、典型的な再発性膀胱炎の場合には、全員に膀胱鏡やCTが必要というわけではありません。

一方で、血尿、発熱、結石の疑い、治療への反応が悪い場合などには、追加検査を検討します。


膀胱炎を予防するために

膀胱炎を完全に防ぐ方法はありませんが、次のような点が再発予防に役立つことがあります。

・極端に水分を控えない
・長時間、排尿を我慢しない
・便秘を放置しない
・疲労が強いときは無理をしない
・処方された抗菌薬を正しく服用する
・症状を繰り返す場合は、自己判断せず原因を調べる

必要以上に陰部を強く洗うと、皮膚や粘膜への刺激になることがあります。

繰り返す膀胱炎の予防法は、年齢や発症のきっかけ、基礎疾患によって異なります。個別にご相談ください。


このような場合は早めに受診してください

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。

・38℃前後の発熱がある
・寒気や震えがある
・背中や脇腹が痛い
・吐き気や嘔吐がある
・肉眼的血尿がある
・尿がほとんど出ない
・妊娠中または妊娠の可能性がある
・男性に膀胱炎症状がある
・抗菌薬を服用しても改善しない
・膀胱炎を何度も繰り返している

夜間や休日に高熱、強い痛み、嘔吐などがある場合には、救急医療機関への受診も検討してください。


当院での膀胱炎診療

リプロケアクリニックおおたかの森では、女性・男性の膀胱炎症状に対応しています。

症状に応じて、

・尿検査
・尿沈渣
・尿培養検査
・超音波検査
・残尿測定
・血液検査
・膀胱鏡検査

などを行い、膀胱炎だけでなく、尿路結石、前立腺炎、排尿障害、性感染症、腫瘍性疾患などが隠れていないかを評価します。

必要に応じて、CT検査や入院治療が可能な連携医療機関をご紹介します。


院長からひとこと

排尿時痛や頻尿があると、多くの方は「膀胱炎だろう」と考えます。

実際に膀胱炎であることも多いのですが、同じような症状の中に、尿路結石、前立腺炎、性感染症、腎盂腎炎などが隠れていることがあります。血尿を伴う場合には、膀胱がんをはじめとする腫瘍性疾患にも注意が必要です。

私は自治医科大学附属病院で泌尿器科准教授として、一般泌尿器科診療から膀胱がん、腎がん、前立腺がんなどの泌尿器がん診療、ロボット支援手術まで幅広く携わってきました。

膀胱炎の診療で大切なのは、抗菌薬を処方することだけではありません。

本当に膀胱炎なのか、別の病気が隠れていないか、繰り返す原因がないかを見極めることが大切です。

リプロケアクリニックおおたかの森では、膀胱炎だけでなく、血尿、頻尿、夜間頻尿、尿路結石、前立腺肥大症、PSA高値など、幅広い一般泌尿器科診療に対応しています。

流山市をはじめ、柏市、野田市、守谷市、我孫子市、松戸市、三郷市、八潮市周辺で膀胱炎症状にお困りの方は、お気軽にご相談ください。


よくあるご質問

膀胱炎は何科を受診すればよいですか?

膀胱炎は泌尿器科で診療します。女性の場合は内科や婦人科で診療されることもありますが、血尿、再発、尿路結石、排尿障害などが疑われる場合には、泌尿器科での評価が適しています。

膀胱炎で血尿が出ても大丈夫ですか?

膀胱炎でも血尿が出ることはあります。ただし、尿路結石や膀胱がんなどでも血尿が起こります。肉眼的血尿がある場合や、治療後も血尿が続く場合には泌尿器科で詳しく調べることが大切です。

市販薬だけで治せますか?

症状を和らげる市販薬はありますが、細菌性膀胱炎の原因菌を治療できるとは限りません。また、別の病気が隠れている可能性もあります。排尿時痛や頻尿が続く場合は尿検査を受けてください。

水をたくさん飲めば治りますか?

適切な水分摂取は大切ですが、水分だけで細菌性膀胱炎が確実に治るわけではありません。発熱や強い症状がある場合、水分摂取だけで様子を見ないでください。

男性でも膀胱炎になりますか?

男性にも膀胱炎は起こります。ただし、前立腺炎、前立腺肥大症による残尿、尿路結石、性感染症などが関係している場合があるため、詳しい評価をおすすめします。

膀胱炎を何度も繰り返すのはなぜですか?

水分摂取、性行為、閉経後の変化、残尿、尿路結石、糖尿病など、さまざまな要因が考えられます。繰り返す場合には原因を確認します。

膀胱炎の治療後も頻尿が続くことはありますか?

炎症が改善するまで症状が少し残ることはあります。ただし、過活動膀胱、残尿、尿路結石など別の原因がある場合もあります。症状が続く場合は再度ご相談ください。


まとめ

膀胱炎は、排尿時痛、頻尿、残尿感、尿の濁り、血尿などを起こす病気です。

女性に多くみられますが、男性にも起こります。

特に、

・男性の膀胱炎症状
・繰り返す膀胱炎
・発熱や背中の痛みを伴う場合
・血尿が続く場合
・抗菌薬を服用しても改善しない場合

には、膀胱炎以外の病気や、背景にある原因を確認することが重要です。

症状だけで自己判断せず、尿検査を受けたうえで適切な治療を受けましょう。


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監修・執筆

安東 聡

リプロケアクリニックおおたかの森 院長

日本専門医機構認定 泌尿器科専門医

日本泌尿器科学会認定指導医

日本生殖医学会認定 生殖医療専門医

元 自治医科大学附属病院 泌尿器科 准教授


本記事は一般的な医学情報を分かりやすく解説したものです。症状、年齢、妊娠の有無、基礎疾患、検査結果などによって適切な対応は異なります。気になる症状がある方は医療機関へご相談ください。

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